前回(https://sakihama-s.blogspot.com/2021/10/blog-post_29.html)、ホテルのビュッフェに招いてくれた人からふたたび招待を受けた。私にお礼がしたいのだと言う。こちらとしては、さほどのことをしたつもりもなかったが(その人の文章を適切な日本語に直したくらい)、特に断る理由もないし、よろこんで応じた。
その人が時間をかけて食事を楽しむというのを知っていたから、今回は私もそのつもりで朝食を抜いて会食にのぞんだ。
ふだんであれば取り皿に肉などをたくさん盛るところだが、まずは野菜を少量。時間をかけて味わいながら、おしゃべりをするという算段を立てていた。そうすれば数時間を軽くやり過ごせるだろうと考えたのである。
ところが意表をつかれたことに、その人はデザートコーナーから大量のケーキとコーヒーを皿にのせて持ってきたのである。栄養学にも一家言持っているその人は、糖分を始めに摂取することの意義について語りながらケーキを頬張った。
このように初めから調子を狂わされる会食となったが、今回はプールが見える窓際の席を案内されて、そこからはヤシの木が風にそよいだり、雲が流れていくのが見えたりして、とめどなくも実りの多い話の合間に外に目をやるのが楽しかった。
私はビュッフェ形式のときは、自分の分を大量に取ってさっと食べておしまいというのが毎度のことだったが、今回、じっくりと味わいながら食べてみて、会食とは人と共に過ごす時間そのものなのかと得心したのだった。
日ごろの喧騒から離れたゆったりとした時間の過ごし方をその人は身をもって教えてくれたのではないか、と思う。