5歳になる甥っ子と実家の木の剪定をする。
このところ実家に帰るたびに草木の繁茂する庭の手入れをしているのだが、いちど甥っ子に切った枝葉を運んでもらったことがある。ふたりだけの作業はハードだったが、その作業が楽しかったようで、次はいつ木を切るのかと私の実家訪問を待ちわびていたようだ。
今回は大量に剪定したので作業のし甲斐があったにちがいない。長い枝を武器かなにかに見立てて、独り空想の世界に入りながら運んでいく。「この木の名前なにか知っている?」と甥っ子が訊いてくる。いつも目にしているなじみの樹木なのだが、名前を忘れてしまい出てこない。えーっと、と悩んでいるうちに甥っ子は「これはキリンの木と言うんだよ」と私に教えてくれる。もちろんそんな名前ではないのだが、なるほど細長い幹はまさにキリンの首。縞模様もついている。そのときやっと気づいたのは、甥っ子はこの木の本当の名前を知りたいわけではなくて、自分の思いつきを私に伝えたかったのだ。名前を思い出さなくて良かったと思った。
ところで、この木の名前は「千年木」という。