将棋の「王座」挑戦者の決定戦である、藤井聡太七冠と豊島将之九段の対局をネットで観戦。藤井が159手で勝利するまで緊迫した指し合いがつづいた。見ているこちらまで息が詰まるような対局で、終盤は一手指すごとに目まぐるしく戦況が動き、勝利した藤井は疲れきっていたが、観戦しているだけの私も同様に、しかし心地良い疲れを味わった。豊島も互角に渡り合い、一時はほぼ負けが決まりかけていたのを一瞬の隙を突いて藤井を追い詰めるところまでいった。勝負を最後まであきらめないプロの底力を見せられ敬服した。
番組の構成上、しかたのないことかもしれないが、ときどき解説者の場面に切り替わるのに興をそがれ、途中からは音声を消して見ていた。すると画面に大写しになる対局の盤面がとても美しく見える。それぞれ自陣の王を金の駒が前に出て広い範囲で守り、ゆるやかだけれども盤石の形が対称的にできている。左下と右上に集中した陣形が終盤に入ると崩れていき、王が必死に逃げ道を探して動いていくのを見るのもまた一興だった。どちらに転んでもおかしくない勝負を藤井が紙一重で制した。あまり将棋の試合を観戦することはないのだが、久々に良い対局を見せてもらったと得をした気分になった。