一期一会

2020年4月30日



たまに勘違いをして、通りがかりの見知らぬ人に挨拶をすることがある。単に目が悪いのと、相手の顔をきちんと見ないという癖があるからだろう。遠くから見て知人だと思い込んでしまい、笑いかけたり手を上げたりする。近づいて、別人だと気づきお互いに困惑するわけだが、もうそのときには手遅れだ。いつからか開き直って、間違いであっても動揺を見せずに挨拶をするようにしている。

ある施設で知人が二歳くらいの子供を連れているのに行き会った。とてもかわいらしい男の子で自然にこちらの顔もほころぶ。いやあ、かわいいね、二歳くらい?と、母親の顔を見るとまったく知らない女性で、私はギョッとした。しかし、女性がふつうに笑顔で答えてくれるのに救われる思いで、しばらく会話をつづけてから別れた。気さくなおじさんに声をかけられたと思ってくれただろうかとか考えながら、ちょっとした気恥ずかしさにほてりがおさまるのを待つ。人との出会いは一期一会だ、勘違いだったとしても失うものはなにもないではないか、と自分に言い聞かせながら。


QooQ