ラジオからはいつもoasisの曲が流れていた。車のラジオをつけるとなじみのヒット曲がすぐに流れてきたし、レストランやカフェでも耳にしない日はなかった。街中を歩くと、レコード店の店頭には新作アルバムが一面ずらりと陳列されていた。
あの年はoasisが世界を席巻していた、と言っても大げさではないぐらい私の記憶はoasisの音楽一色に染まっている。
私が住んでいた大学の寮では、ある学生が、キッチンでoasisを大音量でかけてフロア中に鳴り響かせていた。しかし、誰も苦情は言わなかった。みんなoasisが好きだったのだ。私も一時期、毎日のように聴いていた。あのとき、すでに鬱屈して白けた空気は日本だけでなく世界中どこでも若者たちの間に流れていたような気がするが、それでも(それだからこそ)力強く前向きでありたいという宣言をこめた曲の数々。
このアルバムを聴いてから大学の授業に出ていくのを日課にしていた。慣れない異国で、不器用な外国語を使って毎日を暮らしていくのは、私にとって苦闘に等しいものだった。ともすると怯みそうになる気持ちを後押ししてくれたのがoasisの音楽だった。