大学生たちから、おすすめ本を教えてもらう。サルトルの『嘔吐』など、こちらが感心する本もあれば、タイトルからでは内容がまったく想像できない本もある。住野よる、湊かなえ、有川浩などは定番なのだろうか。そのうち読んでみようと思いつつも、手に取ることがなかった。学生たちの見ている世界を知りたいならば、読まなくてはいけない「必読の書」なのかもしれない、と思い直す。
彼ら/彼女らの選択に触発されて、勝手に私も若い人たちに読んでもらいたい本を3冊挙げる。『推し、燃ゆ』(宇佐見りん)、『こちらあみ子』(今村夏子)、『最愛の子ども』(松浦理英子)。
深く考えずに反射的に出てきたそれらのタイトルを見ながら、なぜこの3冊なのか思いをめぐらす。共通するのは、いずれも女性(たち)が主人公だということ。この本に描かれているのは、女性であることが(あるいはなんらかの障がいを持つことが)いまの日本社会のひずみをもろに被らざるを得ないということである。しかし、生きづらさをそのまま忍苦しているわけではなく、最後に自分たちなりの生きる方途を見つけることが読んでいる人を勇気づけてくれる。
若い人たち、特に女性に読んでもらいたいと思ったのだ。