ミサイル避難訓練

2023年1月22日



 那覇市が1月21日に弾道ミサイル飛来に備えて住民避難訓練を行った。実際にミサイルが飛んでくるとしたら、消防隊員の誘導にしたがってゆっくり歩いていては命を守ることはできないはずで、それは行政も承知の上でやっているわけだから、県都・那覇市が実施することで政治的な意味合いを持たせるのだろうと醒めた目で見ていた。

 だが、翌日の新聞報道で、子供たちが頭を手で覆ってかがみ込んでいる写真に衝撃を受けた。さらに「怖かった」という子供のコメントを読んで、こんなことを子供にさせる国や市に対して憤りをおぼえた。

 天災に対する避難訓練ならともかく、それと同列に扱って人災でもあるミサイル攻撃の避難訓練に市民を巻き込むのは狡猾であり、市民を守るという行政の言い分には疑心暗鬼にならざるをえない。

 戦争は当事者の国同士が起こそうと思わないかぎり起こらない。予兆はかならずある。政府の軍備増強による一連の流れは、そのつもりであるということを自国国民そして対外的に発信するものである。市民からその流れに乗ってはいけない、というのは日中戦争からアジア太平洋戦争までの歴史から得られた教訓だったのではないか。

 なによりも、子供に恐怖を体験させることだけは避けなくてはならないだろう。国が沖縄のことを本当に考えてくれているのなら、避難訓練より先にやることはいくらでもある。


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