出勤時に車で通る場所に高架橋がつくられつつある。いずれは高速道路が開通するのであろう。道路の脇に立て看板が出ていて、「美しい橋を作っています」と表示がある。希望と建設者の矜持に満ちあふれている文言ではないかと、いつも感心しながら通り過ぎていた。それが、ある日、よく見ると「新しい橋を作っています」という文言なのだと気づいた。私はずっと見間違えていたのだ。
別の場所だが、完成して数十年になる高速道路の高架橋を下から遠望できる場所があって、目は吸い込まれるように連続アーチ状の橋に惹きつけられる。古代ローマの水道橋とそっくりだが、真似ているわけではなく、おそらく構造的にこの形が最適なのだろう。黄金比や白銀比など何千年も変わらない普遍的な調和の形は私たちを魅惑してやまない。
高架橋の建設者は自信をもって立て看板を「美しい橋を作っています」とすべきではないかと私は車を運転しながら思っている。それだけの価値のあるものをつくっているのだから。