設計図

2022年1月18日



 ひとつひとつの小石を積み重ねていき塔をつくる。そのとき、できるだけ高くしかも揺らぎのない建造物を現出するために、最初に土台を均して幅を充分にとっていくのが要であろう。

 高さを増すにつれ塔は次第に先が細くなっていく。制作者の意図とはうらはらに、いつからか歪なかたちになっていき、それに気づいたときにはすでに修正がきかない。バランスがとれずいまにもくずれ落ちそうだ。しっかりした土台にしたつもりが、まだ基礎が足りなかったのだと後悔が湧き起こってくる。

 ゆらゆらと揺れている頂上にこれ以上の変化を加えたらカタストロフィーが起こるのは間違いないと思いながらも(しかしどこかでそのスリルを楽しむように)、なかば偶然に身をゆだねるように祈りながら小石を乗せていく。

 崩壊はもちろん必然的に、しかし唐突にやってくる。設計図を一から書き直す。


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