光景 3

2021年9月14日



 友人がある日、広大な公園でローラースケートの練習をしていると、遥か遠くに黒い点が見えたという。いったいなんだろうと立ち止まり、その点をじっと見る。点は急速に大きくなってくる。ピンポン玉ぐらいの大きさに見えたときに、それが猛スピードで駆けてくるドーベルマンだと気づき、友人は大慌てで逃げ出した……。

 迂闊なことに、その後、友人が危機をどう切り抜けたのかを聞き逃した。それほど、疾駆するドーベルマンの姿だけが全体から切り離されて、私の頭の中に深く刻み込まれている。


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