夜の記憶 6

2020年7月6日





自分自身の夜の記憶をたどりながら想起するのは、「ツインピークス」である。それが「夜」についての物語だと、「ツインピークス・リターンズ」を見て得心するものがあった。かつてのシリーズにかろうじてあった温かい人間関係はもはや新作には見られない。閉じられた田舎街は、時間と空間を超えて外界へと自身をとめどなく押し広げていく。現代を生きる私たちが向かう先は暗澹とした夜の世界なのかもしれない。血の凍るようなラストに私たちは(またもや)置き去りにされるが、実のところ私はかなりの偏愛をもってこの「リターンズ」の世界を堪能した。

あの夜の森の中を私はさまよったことがあったのではないか、夜中に車を運転していて、後ろから来る他の車のヘッドライトにいつまでもついて来られることの不安―。映画の中の出来事は既視感をともなって私についてまわる。


人によって好き嫌いはあるのだろうが、デヴィッド・リンチはたしかに物や人が存在することの不気味な感覚を映像でとらえている。


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