悪役

2026年8月17日


 今夏のサッカー・ワールドカップでアルゼンチンの試合を見たとき、どうも見覚えのある選手がいると思った。ふてぶてしい顔つきにどこか爬虫類を思わせる歩き方。彼の名前はジュリアーノ・シメオネ。

父親が守備的ミッドフィルダーとして活躍したディエゴ・シメオネだろうことは、確かめる前からなかば予感していた。1990年代に活躍したアルゼンチンのサッカー選手。

1998年のワールドカップでの対イングランド戦では、たくみにデヴィッド・ベッカムを挑発し、退場処分を受けさせるなど狡猾な面がクローズアップされたが、それはすべて貪欲なまでに勝利を欲することがなせるわざだった。

相当ラフに相手にタックルを仕掛け中盤でボールを奪う。粘り強く、戦闘的な選手であるシメオネは、自分のスタイルを「歯の間にナイフを挟んでいる」と表現した。

こういっては失礼かもしれないが、マフィアを彷彿させる風貌はピッチの上で不穏な雰囲気をかもしだす。敵にすると恐ろしいが、味方だと頼もしい存在。南米の選手らしくテクニックも持っているが強引なプレーも併せ持ち、反則することもためらわない。ある意味でオールラウンドプレーヤーと呼べるのかもしれない。また、ピッチを離れれば気さくで笑顔もなんともいえず魅力なので、彼のことをどこか憎めないと思う観客も多かったのではないか。

シメオネは現役引退後、監督に転身し、スペインリーグでアトレティコ・マドリードを2度の優勝に導いた。やはりリーダーの素質があったわけだ。

今回、ジュリアーノ・シメオネのプレーを見たが、父親ほどの印象は受けなかった。個性の強いアルゼンチン選手の間にあっては、無難なプレーよりも、父親のような強烈さが求められるのかもしれない。似ているのは外見だけではないはずだ。今後に期待したい。


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